禁煙外来

禁煙外来とは

禁煙外来とは

禁煙外来では、喫煙習慣を止めたい人を対象に専門的な治療を行っており、条件を満たすことで、健康保険を使った診療が受けられます。禁煙治療の内容は、依存症のチェック、喫煙歴の把握といった問診、丁寧なカウンセリング、禁煙補助剤の処方、そして経過に合わせた適切なアドバイスなどです。

本人と家族の健康のために

本人と家族の健康のために

喫煙はさまざまな病気の原因になっています。呼吸器の病気、動脈硬化による心筋梗塞など循環器系の病気、そして肺がんをはじめとした喉頭がん、食道がん、膀胱がんなどさまざまながんの発生にも関わっているとされています。呼吸器系の病気では、COPD(慢性閉塞性肺疾患)が喫煙の影響を受けて発症する代表的な病気です。これは、有害なものを長期間吸い続けることで肺が慢性の炎症を起こしている状態で、呼吸機能が低下していく病気です。
また、喫煙は周囲への受動喫煙により、本人以外の健康にも悪影響を及ぼしますので、禁煙はご自分だけでなく、ご家族の病気予防やリスク軽減が期待できます。

禁煙の主なメリット

  • 肺、血管、心臓に起こる疾患やがんのリスク低下
  • せきや息切れ、痰などの症状改善
  • すっきり目覚められるようになる
  • 肌の状態が改善する
  • 寿命の延伸を期待できる
  • 出先で喫煙可能な場所を探さずにすむ
  • タバコ代がいらなくなるので金銭的な余裕ができる

など

喫煙習慣は1種の薬物依存であり治療できる病気です

喫煙習慣は1種の薬物依存であり治療できる病気です

タバコが持つニコチンの作用により、脳や体は快感を得てそれにより身体的な依存が生じます。さらに、落ち着く、ほっとするなど心理的な依存も加わるため、喫煙習慣は依存性が高い薬物依存です。単純な嗜好によるものではないので、禁煙を成功させるためには治療が有効になります。

禁煙補助薬について

ニコチンを含まない飲み薬と、ニコチンを含む貼り薬があります。

チャンピックス(飲み薬)

ニコチンを含まない薬剤です。ニコチンが切れた時のイライラや焦燥感などを軽減し、万が一喫煙しまった際にはおいしく感じにくくさせる作用があります。服用を開始するのは、禁煙開始予定日の1週間前からです。タバコを止めていない期間に飲み始め、8日後に禁煙を開始します。1日に2回、食後に服用して合計12週間続けます。

健康保険が適用される禁煙治療について

健康保険を使った禁煙治療が可能ですが、一定の要件が定められており、最初の診察で医師が確認する必要があります。なお、要件を満たさない場合には、自由診療で禁煙治療を受けることが可能です。

健康保険で禁煙治療を受けるための要件

  • ニコチン依存症を診断するテスト(TDS:Tobacco Dependence Screener)で5点以上である
  • 35歳以上の方の要件(35歳未満の方はなし)
    1日の喫煙本数×喫煙年数(ブリンクマン指数)が200以上
     ※1日20本の喫煙を15年続けている場合には300です。
  • すぐに禁煙したいと考えている
  • 医師から受けた禁煙治療の説明に同意

過去に健康保険などを使った禁煙治療を受けた経験がある場合には、前回の治療の初回診察日から1年が経過していれば健康保険を使った禁煙治療を受けられます。1年に満たない場合には、自由診療となります。

ニコチン依存症を診断するテスト(TDS)

はい:1点/いいえ:0点

合計が5点以上になると、ニコチン依存症であると判断されます。
なお、禁煙治療では、最終的なニコチン依存症の診断を医師が行います。

Q1

自分が吸うつもりよりも、ずっと多くタバコを吸ってしまうことがありましたか。

Q2

禁煙や本数を減らそうと試みて、できなかったことがありましたか。

Q3

禁煙したり本数を減らそうとした時に、タバコが欲しくてたまらなくなることがありましたか。

Q4

禁煙したり本数を減らそうとした時に、次のどれかがありましたか。
イライラ、眠気、神経質、胃のむかつき、落ち着かない、脈が遅い、集中しにくい、手のふるえ、ゆううつ、食欲または体重増加、頭痛

Q5

上の症状を消すために、またタバコを吸い始めることがありましたか。

Q6

重い病気にかかった時に、タバコはよくないとわかっているのに吸うことがありましたか。

Q7

タバコのために自分に健康問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか。

Q8

タバコのために自分に精神的問題*が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか。

Q9

自分はタバコに依存していると感じることがありましたか。

Q10

タバコが吸えないような仕事やつき合いを避けることが何度かありましたか。

健康保険などを使った禁煙治療の流れ

12週間に合計5回の診察が標準的な禁煙治療です。

初診

問診

健康保険で治療が受けられるかどうかの「ニコチン依存症を診断するテスト」を行います。

検査

呼気に含まれる代表的な有害物質である一酸化炭素の濃度を測定します。

カウンセリング

健康状態や喫煙・禁煙歴をうかがった上で、相談しながら禁煙開始日を決定し、『禁煙宣言書』にサインしていただきます。
「ニコチン切れ症状」などへの具体的な対処法について丁寧にアドバイスをさしあげます。ご不安に思うことがありましたら、なんでもご相談ください。禁煙補助薬を選択し、その特徴と使い方をご説明いたします。

ご自宅での治療開始

禁煙補助薬の内服をはじめて、1週間経過したら禁煙をスタートします。

通院(2~4回目)

初診から、2週間後、4週間後、8週間後に受診いただきます。呼気一酸化炭素濃度の測定や禁煙状況のチェック、アドバイスなどでサポートします。

最後の通院(5回目)

初診から12週間後(約3ヶ月後)に受診いただきます。呼気一酸化炭素濃度の測定を行い、今後も禁煙を続けていくための具体的な方法などをアドバイスしています。疑問や不安があったら、なんでもご相談ください。これで禁煙治療は終了です。

禁煙治療の費用とタバコ代の比較

禁煙治療にかかる費用は処方薬などによって多少変動しますが、健康保険を使って自己負担3割とした場合、12週間で約20,000円です。1日1箱喫煙していた場合、同じ期間にかかる費用は保険診療で禁煙治療を受けた場合の自己負担額の方がタバコ代よりも安くなります。そして、禁煙治療が成功すれば、以降のタバコ代は必要なくなります。

12週間分のタバコ代※1日1箱、1箱430円として 36,120円
12週間分の禁煙治療費(3割負担の場合) 約20,000円
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